お客様を「買いたい気持ち」にさせる「キュー」とはいったい何か?

商売が成功しているお店と、失敗しているお店の違いはどこにあるのでしょうか。

もしかすると、「お客様の記憶」を管理できているかどうかが、大きなポイントなのかも知れません。

1.お客様を買いたい気持ちにさせる商品の見せ方:

ネット販売のお話の前に、或る実店舗の商品陳列のお話をしたいと思います。

先日、或る百貨店のお酒売り場で、「なるほど!!」と思わせるモノを見かけました。

それは、ビールグラス(写真)です。

null

商品として売られているビールグラス自体もなかなかユニークなのですが、私が最も感心したのは、商品の“見せ方”です。

グラスの中に、黄色と白色の紙を組み合わせて作った“ウソのビール”が入っていました。

この“紙で作られたビール”は、本当にさりげない工夫です。

けれどもこの“紙で作られたビール”があることによって、それを見た消費者は、「泡まで美味しいビールの味」や、「友達や家族とビールを飲んだときの楽しい記憶」を“なぜか知らないうちに”思い出すかも知れません。

あるいはもしかすると、消費者は“無意識”のうちに、「たしかに、このグラスでビールを飲むと、美味しいかも知れないな」とか、「次に友人を家に呼ぶときは、このグラスでビールを飲もうかな」と考えるかも知れません。

つまり“紙で作られたビール”が刺激となって、消費者の心の中に様々なポジティブな感情が湧き上がってくるわけです。

そしてその結果、ビールグラスの購入に対する気持ちがより積極的になる可能性があります。
 

2.いったい何が、お客様の「買いたい気持ち」を呼び起こすのか

このように、人は何かを見たことがきっかけとなって、色々なことを思い出し、結果的に、商品を購入するというケースがあります。

この点について、ジェラルド・ザルトマンは著書「心脳マーケティング」のなかで、次のように書いています。

「記憶は、物理的に言うと脳細胞上で電気化学的に刻み込まれる。神経科学では、この刻み込まれたものはエングラムと呼ばれる。(中略)一度貯蔵されたエングラムは、何らかのキュー(合図)あるいは刺激を受けることによって活発化する。(中略)キューの中には、わかりやすいものもあるが、無意識のうちに作用するようなわかりにくいものもある。通常、我々はほとんどのキューについて意識していない。しかしこうした刺激こそ、消費者の購買意図につながるような記憶を喚起する手段として、マーケターが使い得る重要な道具の1つである」
(引用:ジェラルド・ザルトマン著「心脳マーケティング」)

ザルトマン氏が言うように、キューがお客様の無意識に働きかけて、購入につながるような記憶を喚起するのであれば、やはり、「キューをいかにして管理するか」ということが、売上を伸ばすうえで、とても重要なポイントになってきます。

お店の中で表示するものや、商品説明の仕方、使用する広告など、様々なものがキューとなり得ます。

そうしたものをどのようにして管理するかが、結果的には、お客様の購入意欲を管理することになっていきます。

ビールグラスを空っぽのまま展示するか、それとも、“紙で作られたビール”を入れて展示するのか。

それが、成功と失敗の分かれ道になるのかも知れませんね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加