販売の心理学:ピークエンドの法則――売上げが上がらないのは、アレが原因だった

お客様の満足度を高めることは、リピーターを増やすうえでとても重要ですよね。
顧客満足度が低ければ、お客様は去っていきます。
これは売上げを伸ばす上で、とても大きなダメージです。

では、サービスの質を全面的に向上させれば、顧客満足度は高まるのでしょうか。

実は、必ずしもそうではありません。

お客様の満足度を高めるうえで大事なのは、実は“タイミング”です。

今回はその点についてお話したいと思います。

1.ピーク・エンドの法則

行動経済学に「ピーク・エンドの法則」という理論があります。

「ピーク・エンドの法則」とは、アメリカの行動経済学者・ダニエル・カーネマンによって提唱された理論で、「あらゆる経験の快苦は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる」というものです。
(引用:マッテオ・モッテルリーニ著「世界は感情で動く」)

「世界は感情で動く」には、次のような実験例が紹介されていますので、引用します。

「<実験1>
 参加者たちは、うるさい音を聞くという苦痛な体験を、連続して二回こなす。
 1回目:七八デシベルの音が十六秒間続く。
 2回目:七八デシベルの音が十六秒間続いた後で、六六デシベルの音が八秒間続く。
 ここで参加者たちに、もう一度くりかえすとしたら、1回目と2回目、どちらの体験がいいかとたずねる」
(引用:マッテオ・モッテルリーニ著「世界は感情で動く」)

さて、普通に考えたら、1回目のほうがいいに決まっていますよね。
なぜなら、1回目のほうが、うるさい音を聞く時間が短いからです。

ところが、この実験に参加した大多数の人が、2回目がいいと答えたそうです。

続いて、二つ目の実験をご紹介します。

「<実験2>
トロント大学医学部のドナルド・リーデルメイヤーとカーネマンは(中略)結腸鏡検査を受ける患者六八二人を二つのグループに分けた。

 第一グループ:通常の結腸鏡検査を受ける。
 第二グループ:通常の結腸鏡検査を受けた後に、結腸鏡の先端を何分かだけ、直腸のなかに残しておく。
 その後、両グループに、この検査の苦痛について評価を聞く」
(引用:マッテオ・モッテルリーニ著「世界は感情で動く」)

さて、この実験についても、普通に考えれば、第二グループのほうが苦痛が大きいに決まっていますよね。

ところが、実際には、第二グループのほうが、「検査後の」苦痛についての総合的評価が約10%下がったそうです。
また、第一グループの患者のうち32%がその後も検査を受けに来たのに対し、第二グループの患者では43%がその後も検査を受けに来たということです。

なぜこのような結果となったのでしょうか。

「世界は感情で動く」では次のように説明しています。

「第二グループには、通常の検査の後に医学的には不要なものを付け加えたわけだが、その最後の数分の不快感は、通常の検査の不快感よりも小さいというのがミソである。
(中略)
私たちは、どうしたらより快適になれるかを「事前に」予測し選ぶときには、「快適である=苦しくない」という論理にそって考える。しかしながら「事後」になると、実際の快適度は「快適である=よりよい記憶が残っている」(たとえ、苦しみはこっちのほうが大きくても)という公式にそって考えるのだ」
(引用:マッテオ・モッテルリーニ著「世界は感情で動く」)

つまり、全体的に苦しみが大きくても、最後の部分が「ちょっと楽」であれば、記憶の中では、苦しみが小さく感じられるわけです。

2.ラストの満足感が重要

この法則は、「満足度」についてもあてはまります。

たとえば、映画の場合、ピーク時(最高潮)のシーンとラストのシーンが素晴らしければ、満足度は高くなりますが、ピーク時とラストのシーンがダメだったら、仮に全体の仕上がりが良くても、良い印象(記憶)が残らない可能性が高くなります。

また、お客様にサービスを提供する際にも、ピーク時(最良・最悪)と最後の場面でのサービスの質が、お客様の満足度に大きな影響を与えることになります。

たとえ全体的なサービスが良くても、最後の部分が尻すぼみだったら、高い満足感を感じて頂く事ができないわけです。

これは、飲食業界や営業マンによるプレゼンテーション、店舗での販売など、いろいろな場面に当てはまります。

ピーク時とラストをいかに演出して満足度を高めるか。お客様の心をガッチリつかむためには、とても重要なことですね。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!!

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