なぜ、極度の節約家が高級ドンペリを衝動買いしたのか――心の家計簿(メンタル・アカウンティング)とは?

突然ですが、あなたはお金を豪快に使われるほうですか?

それとも、節約をされるほうですか?

実は、人の金銭感覚は、状況に応じて、大きく変化するものです。

本日は、或る女性の事例を用いながら、なぜ人の金銭感覚が大きく変化するのかについて、お話したいと思います。

1.或る女性の金銭感覚の急変ぶりが衝撃的!!

昨年の9月19日に、日本テレビで「大人気店で史上初のドッキリ!ありえない商品 売れる!?売れない!? 第五弾」という番組が放送されました。

この番組は、“ぜったいに売れそうにないもの”が果たして売れるかどうかを実験するテレビ番組です。

たとえば、「川越達也さんが作る6千円のパスタがファミレスで売れるかどうか」や「バッティングセンターで槙原寛己さんが投げる20球が2万円で売れるかどうか」など、非常に面白い企画をたくさん行っているのですが、その中でも、私自身が非常にびっくりした実験がありました。

それは、強烈な節約家である女性お笑い芸人さんが、グラス1杯1万円のドンペリ・プラチナをその場で注文するかどうかを隠し撮りするという企画です。

ちなみに、実験台となったのは、たんぽぽの川村エミコさんという方です。この方は、芸人として売れない時期が長かったらしく、そのせいで、現在も極度の節約家とのことでした。(大好きで集めている“こけし”も、一番高いもので5800円とのことです)

川村さんは果たして、グラス1杯1万円のドンペリ・プラチナを注文したのでしょうか。

結果から書きますと、川村さんは注文しました!!

しかも、いっしょに飲んでいた友人5人分も含めて、6杯分のドンペリ(合計6万円)を自腹で注文したのです!!

なぜ、極度の節約家である川村さんが、6杯6万円もするワインを、何の躊躇もなく買ったのか。

それは、いっしょに飲んでいた友人の中に、その日たまたま誕生日を迎える人がいたからです。

最初は1杯1万円のワインに強い拒絶反応を示していた川村さんが、友人の誕生日のことを聞き、「じゃあいいよ、私がみんなにプレゼントする!!」と言って、購入を決めたのです。

この川村さんのケースに見られるように、人の金銭感覚は大きく変化するものです。

ではなぜ、金銭感覚はこれほどまでに変化するのでしょうか。

それは、人の心には、「心の家計簿(メンタル・アカウンティング)」というものがあるからです。

2.心の家計簿(メンタル・アカウンティング)とは?

「心の家計簿(メンタル・アカウンティング)」とは、経済学者Richard Thalerによって提唱された概念で、「人は、同じ金銭であっても、その入手方法や使途に応じて、(時に無意識に)重要度を分類し、扱い方を変えていること」を指す行動経済学の言葉です。

たとえば、普段はものすごく節約しているのに、デートのときには惜しげもなくお金を使ったり、普段はとても倹約しているのに、海外旅行に出かけると、どんどん買い物をしてしまうのは、「日常の生活費」と「特別費」を“心の中”で使い分けているからです。

「自分へのご褒美」というのもまさにそれで、普段はぜったいに高価なものを買わない人が、「今日わたし、すごく頑張ったから、自分へのご褒美で買っちゃおう!!」といった感じで、急に高価なものを買ったりするのは、その人の心の中に「自分へのご褒美費」という予算が存在するからです。

さきほどの川村エミコさんのケースで言うと、「自分のために1杯1万円のワインを注文するのは嫌だけど、友人の誕生日を祝うためにみんなの分のワインを6万円で注文するのはOK」という心の状況です。

このように、人にはそれぞれ「心の家計簿」が存在するので、同じ金額であっても、お金を支払うことを拒絶する場合もあれば、喜んで支払う場合もあるわけです。

つまり、「お客様のお財布のひも」には、なかなか“ほどけない”時と、簡単に“ほどける”時があるということです。

3.どのようにして、お客様のお財布のひもをほどくか

では、ネット販売やウェブ戦略の現場では、どのようにすれば、お客様のお財布のひもを緩めることができるのでしょうか。

それは、「お客様にとってより価値の高いものを提案する」ということです。

この「価値の高いもの」というのは、人それぞれです。

たとえば、「家族」だったり、「子供」だったり、「自分自身の美容」だったり、「健康」だったり、「モテる」ということだったり。

お客様に商品を提案するとき、お客様にとって何が最も価値が高いかを見極めてから、提案することが大事です。

これをうまく実践しているのが、レゴ(LEGO)です。

レゴ(LEGO)はデンマークの玩具メーカーですが、商品を「おもちゃ」として販売するのではなく、「教育用の教材」として販売しています。

この「教育」というのが、子を持つ親にとっては、「お財布のひもが緩むツボ」だったりします。

実際、私にも1歳の子供がいるのですが、「子供の教育」ということに関しては、財布のひもが緩みっぱなしです。

レゴ(LEGO)には「レゴ・エデュケーション」というシリーズがあるのですが、非常に素晴らしいですので、仮にこの商品の値段が他のおもちゃより何倍も高くても、子供に買ってあげたいと思ってしまいます。

さて、今回の結論ですが、もし、商品がなかなか売れないのでしたら、「お客様にとってより価値の高いもの」という角度から、お客様に提案してみてはいかがでしょうか。

そうすれば、お客様の心の中にある“もっと大きな別の予算”によって、商品を購入していただけるかも知れませんね。

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