ヒット商品を作るコツ。消費者を買いたい気持ちにさせる「信号刺激」とは?

私たちが買い物をするとき、通常、理由があるものです。

たとえば、「あの商品、カッコイイ」「あのグッズ、カワイイ」などなど。

では、消費者はいったいどういったモノを「カッコイイ」と思ったり、「カワイイ」と思うのでしょうか。それが分かれば、お客様に商品を購入して頂ける可能性が高まるはずです。

そこで今回は、「信号刺激」という観点から、消費心理について考察していきます。

1.消費者を消費行動に駆り立てる「信号刺激」とは?

動物行動学に、「信号刺激」という言葉があります。

「信号刺激」とは、「動物に一定の本能行動を引き起こす鍵となる刺激のこと(引用元:ウィキペディア)」です。「鍵刺激」とも言います。

具体的な例を引用します。

イトヨ(魚の名前)の雄は、繁殖期になると縄張りを持ち、そこで巣作りをしながら、侵入してきた別の雄を攻撃します。しか し雌に対しては、ジグザグダンスと呼ばれる独特な泳ぎ方で求愛をします。縄張り防衛も求愛ダンスも本能行動ですが、イトヨの雄は、何を基準に求愛と攻撃を 区別しているのでしょうか。
この時期、雄は腹部が赤くなり、雌は卵で腹部がふくらみます。イトヨの雄は、攻撃か求愛かを「赤色」と「ふくらんだ形」で判断しているのです。これは、ティンバーゲンという学者が実験で確かめました。
形がイトヨの雄そっくりの模型でも、腹部が赤くなければ攻撃せず、単なる楕円の物体でも下を赤くぬっていれば攻撃します。また、人間には魚とは見え ないナ シ型の物体に対して、激しい求愛ダンスをします。このように、本能行動を引き起こす刺激のなかで、本当の意味での 引き金となる要素を「信号刺激」とか「鍵(かぎ)刺激」といいます。
(引用元:神戸新聞「本能行動/「信号刺激」が引き金に」

要するに、イトヨの雄は本能的に、相手が敵かどうかを腹部の赤色のみで判断していて、それ以外の部分は判断材料にしていないということです。

2.「カワイイ」という感覚を生み出す「ベビー図式」

ヒトにも、このような「信号刺激」があるようです。

たとえば、「可愛い」という感覚はどこから来るのか。

動物行動学者のコンラッド・ローレンツによると、「可愛い」という感情は、以下の要因によって触発されるようです。
1.身体に比して大きな頭
2.前に張り出た額をともなう高い上頭部
3.顔の中央よりやや下に位置する大きな眼
4.短くて太い四肢
5.全体に丸みのある体型
6.やわらかい体表面
7.丸みをもつ豊頬
以上の7つの要因は、ベビー図式(Kindchen-Schema)と呼ばれています。
(参考資料:北星学園大学「専門基礎演習レポート-子供はなぜ可愛いか-」

ぬいぐるみやマスコットキャラクターが可愛らしく感じるのは、以上のような特徴を持っているからだと思われます。

3.消費者の心を動かしているのは一体なにか?

消費行動に関しても、同じことが言えるのではないかと考えます。
たとえば、或る消費者が「カッコいい自動車」を購入したいと考えているとします。

その消費者は、もしかすると、自動車の或る特定の部位のみに着目して、その車がカッコいいかどうかを判断している可能性があります。たとえば、「流線的かどうか」など。

さらに言えば、「どの部分が流線的か」という点も、その消費者にとっては重要な判断ポイントなのかもしれません。たとえば、自動車の流線的なフロントフェイスの部分であったり。

この場合、「流線的なフロントフェイス」がその消費者の「信号刺激」であり、その部分さえ満たされていれば、その消費者はその車を「カッコいい」と感じる可能性があります。
(実際は、ベビー図式のように、信号刺激が複数存在するケースが多いのかも知れません)

さて、ここでひとつの仮説を立てたいと思います。

それは、「消費者が商品を識別する際も、特定の部分のみに着目し、判断を行っているのではないか」という仮説です。

魚のイトヨは、相手の腹部が赤いかどうかだけを見て、敵かどうかを判断していますが、同様に、消費者が好みの商品を選ぶ際にも、どこか特定の部分のみを判断材料にしているのではないか、という仮説です。

たとえば、スポーツ少年が靴を買う際に、靴の機能そのものよりも、「NIKE」のロゴが大きく入っているかどうかを判断材料にしたり、女の子が洋服を買う際に、襟元に小さなリボンがついているかどうかを判断材料にするように。

もしそうであるならば、そのポイントこそが、商品開発において必ず押さえなければならないポイントとなります。

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