あの「格安店」の価格に隠された秘密――ハロー効果

買い物をするとき、「価格が安い」というのは、お店を選ぶ上で、とても大きな要因かと思います。

けれども、そのお店は本当に“安い”ですか?

もしかすると、それはあなたの錯覚かも知れません。

今日は、価格の錯覚についてお話したいと思います。

1.「エブリデイロープライス」に隠された真実

アメリカに、ウォルマートという世界最大の小売企業があります。

ウォルマートの最大の特徴は「エブリデイロープライス」戦略です。

“安さではどこにも負けない”というイメージを全面に押し出して、消費者から大人気のウォルマートですが、このウォルマートの価格に関して、流通コンサルティング会社代表の松村清氏が著書の中で面白い指摘をしています。

「エブリデーロープライス戦略をとり、最低価格保証(自社より安い店があれば、その店の値段に合わせる制度)を実施しているウォルマートでも、アイオワ大学のビジネススクールで価格調査をしたところ、8万アイテムのうち実際に最低価格であったのは650アイテムだったという」
(引用:松村清 著「目からウロコ販売心理学93の法則」)

松村清氏によると、最低価格保証を謳っているウォルマートでさえ、最低価格の商品は、たったの650アイテムだけだということです。
(※ただし、同書の初版は2002年発行ですので、そのあたりはご注意下さい)

650÷80000=0.0081

つまり、全商品のうち、わずか0.8%だけが最低価格で、それ以外は、ほかのお店よりも高いわけです。

もちろん、ウォルマートの商品は、全体的に低価格を保っているのでしょうけれども、最低価格の商品が全体のわずか1%以下というのは、驚きです。

そのような状況にも関わらず、なぜ私たち消費者は、「ウォルマートは安い」と思ってしまうのでしょうか。

実はそこには、或る“心理的な理由”が隠されています。

2.価格の錯覚とハロー効果

「ウォルマートは安い」と感じるのはなぜか。

松村清氏は或る別の企業を例に出して、次のように解説しています。

「ウォルグリーン(アメリカのドラッグストアチェーン)は、お客が価格を気にするのは200アイテムであり、それ以上のアイテムを安くしても無駄な安売りになる、と考えている。彼らは、ハロープライシング(ハロー価格)戦略を取っているのである。買物頻度が高く価格に敏感な商品を安くすることにより、店全体の価格が「安い」というイメージをつくる戦略である。
逆に、価格に敏感でない商品には高い利益率を乗せ、十分な利益を取り、粗利ミックスをしている」
(引用:松村清 著「目からウロコ販売心理学93の法則」)

この文章の中に出てくる「ハロープライシング(ハロー価格)戦略」というのは、「ハロー効果」から取った造語でしょう。

「ハロー効果」とは、心理学用語で、「人や事物のある一つの特徴について良い(ないしは悪い)印象を受けると,その人・事物の他のすべての特徴も実際以上に高く(ないしは低く)評価する現象」のことです。
(引用:weblio三省堂 大辞林

たとえば、相手が一流大学を卒業していたり、容姿端麗であったりすると、その人のすべてを実際以上に良く見てしまう心理的傾向が、ハロー効果です。

先ほどご紹介しました「ウォルマート」や「ウォルグリーン」の事例を見てみますと、小売店の価格についても、このハロー効果が当てはまることが分かります。

つまり、全ての商品の価格が安くなくても、購入頻度が高い“一部の商品”が安ければ、消費者はその小売店“全体”が「安い」と感じてしまうわけですね。

このアイデアは、商売の現場でも応用させることが出来ます。

もし、「安くてお得なお店」というイメージをお客様に持って頂きたいのでしたら、「ハロー効果」を試してみてはいかがでしょうか。

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