あえて「売らない」ことで、売上げをアップさせる方法――心理的リアクタンス

人間は、追いかけられると逃げたくなるものです。

逆に、逃げているものを見ると、追いかけたくなるものです。

商売の現場でも、同じような現象が頻繁に起きます。

或る商品を、お客様に対して必死に売り込もうとすると、ぜんぜん売れない。

逆に、同じ商品なのに、「限定版」として売り出すと、どんどん売れていく。

では、いったいなぜ、そのような現象が起きるのでしょうか。

その謎を解くヒントになるのが、「心理的リアクタンス」理論です。

1.「心理的リアクタンス」とは

「心理的リアクタンス」とは、「自分の意思や行動を制限されたり強制されたりしたときに、心の中で生じる反発心のことを指します。

田邊 資章氏の「リアクタンス特性と興味・関心が説得に及ぼす影響」という論文に、詳しい解説文が記載されていますので、まとめます。

・心理的リアクタンス理論とはB r e h m (1966) により提唱された理論。

・(人は)ある行為を禁止されて自由に行動を起こせなくなると、 自由を回復するために人は禁止された行為をあえて行うようになる。

・逆に、 ある行為を強制されることでも自由を脅かされ、 リアクタンス(心理的抵抗)が喚起される。その結果、 強制された行為を行う傾向は減少する。

・ 自由を侵害されたという認知はリアクタンスを喚起させ、 それにより他者が意図した方向と逆方向へと個人を動機付けさせる場合がある。
(参考文献:田邊 資章「リアクタンス特性と興味・関心が説得に及ぼす影響」

つまり、「これをしなさい」と強制されると、やりたくなくなったり、「これをしてはいけません」と禁止されると、やりたくなる心理的傾向が、「心理的リアクタンス」です。

2.商売の現場で「心理的リアクタンス」を応用する方法

では、この理論をビジネスの現場でどのように応用すればよいのでしょうか。

ポイントは、「制限をかけて、あえてお客様に売らないこと」です。

いくつかのパターンをご紹介します。

2-1.数量限定

これは、販売する商品の数を限定する方法です。
例えば、“一日限定30個のみの販売”、或いは“製造数20個のみの限定版ヴィンテージ・モデル”などの演出方法です。

ちなみに、“お一人様3つまで”のような演出を行った場合、通常1つしか購入しないお客様が3つ購入する可能性が高くなります。

2-2.人数限定

“先着20名様限定”や“抽選で5名様”のように上限を加える方法のほかに、“3名様以上でご予約の方に限り...”といった具合に下限を加える方法があります。

2-3.時間限定(期間限定)

“8時から10時までの限定メニュー” “春限定商品” “9月1日から9月30日までの特別キャンペーン”のように、時間で限定をします。

「共同購入型クーポンサイト」はタイムリミットを設定することで、消費者の購入意欲を刺激しています。

関連記事:なぜ「共同購入型クーポンサイト」で衝動買いをしてしまうのか

2-4.客層限定

商品を購入できるお客様(客層)を限定する方法です。
たとえば、“会員限定”や“女性のお客様限定(性別限定)”など、お客様を選ぶ方法です。

2-5.条件付限定

“お買い上げ総額○○円以上のお客様に...”や“会員様だけのプレミアムサービス”などのように、ある条件を満たしているお客様だけに特別サービスを行う方法です。

2-6.予約○ヶ月待ち

「予約○ヶ月待ちの商品」を用意する方法です。

以上のように、お客様の自由を制限することで、購入意欲を刺激することができるのではないでしょうか。

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